HAIR TOUCH YOU のばせば届く。

INTERVIEW

医療⽤ウィッグを提供する⽅

「寄付した髪の、その先を考えて選ぶヘアドネーションへ」医療用ウィッグ支援のNPO法人「ふくりび」がフィーノと目指す社会

フィーノの医療用ウィッグプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】にて行っているヘアドネーションの取り組み「fino ウィッグBank」では、寄付された髪の保管、ウィッグ製作、販売業務をNPO法人「全国福祉理美容師養成協会(以下、ふくりび)」にサポートいただいています。医療用ウィッグ支援の現場のことや、フィーノのプログラムに寄せる想いについて、「ふくりび」の事務局長を務める岩岡ひとみさんに、うかがいました。

病気や治療による外見の悩みを支援する「アピアランスサポート」

あらためて、「ふくりび」の主な活動について教えてください。

2007年の設立以来、福祉理美容の概念である「誰もがその⼈らしく美しく過ごせる社会」の実現を⽬指し、理美容・医療・介護・ファッションなどの多職種専⾨家が「得意を活かして社会貢献活動」をしています。中でも「医療用ウィッグ」を中心としたアピアランス(外見)サポートの分野に力を入れており、抗がん剤治療による副作用や脱毛症などによる外見の悩み全般を、医療関係者・美容師・ネイリスト・エステシャンがチームになって支援しています。

その人らしく過ごすことは、人の尊厳に関わるとっても大切なこと。一人ひとりの「こだわり」や「大切にしていること」を一緒に大切にすることは、 本人はもちろん、周りの方々にとっても重要な支援のひとつだと思っています。

医療用ウィッグは日常的に使える「耐久性」と「ナチュラルさ」が重要

医療用ウィッグ支援の具体的な活動としては、どのようなことをされているのでしょうか?

まずは、人毛100%の高品質なセミオーダー型医療用ウィッグを製作・販売しています。「ふくりび」のセミオーダー型は、ご希望に合わせて美容室でカットやカラー、パーマもできるので、お好みのヘアスタイルが楽しめるのが特徴です。また、ヘアドネーションの髪を使ったフルオーダー型医療用ウィッグもご好評いただいています。

愛知と東京で運営しているアピアランスサポートセンターでは、医療用ウィッグの選び方、相談、製作までをサポートしていて、これまでたくさんの方に訪れていただいています。医療用ウィッグの製作実績も、3歳〜92歳と幅広くなってきました。

そもそも医療用ウィッグと通常のウィッグには、どのような違いがあるのでしょうか?

各メーカーさんが定める基準や、JISの基準はあるものの、医療用ウィッグの明確な定義はないんです。基本的には、裏地が肌に優しい、サイズ調整ができるなどの特徴があって、通常のウィッグに比べて自然な見た目で耐久性のあるものが多いと思います。医療用ウィッグの場合、お仕事など日常的に使うためのものなので、1日8時間以上着用することもあります。耐久性や着け心地は、かなり重要なポイントですね。

医療用ウィッグを必要とする方の事情はさまざまですが、やはり抗がん剤治療による脱毛が理由のケースが多いです。以前だとがんは治らない病気というイメージがありましたが、今は医療も進化しています。早期発見し治療をすれば、変わりなく生活を送れるケースもありますし、状態によっては働きながら治療を続けることができます。

治療をしながら社会に出ている方の中には、がんであることを周りに知られたくない方や、外見の変化により外出や人と会うことを控えたことで体力が落ちてしまったり、元気を無くしてしまったりする方もいらっしゃるんです。それはご本人にとっても、周りの方にとってもつらい出来事ですよね。そういった点からも、アピアランスサポートの重要性を、日々感じています。

医療用ウィッグを通じて、つらい経験を少しでもプラスに

これまでに、「ふくりび」を通じて医療用ウィッグを使用した方の印象的なエピソードがあれば教えてください。

前提として、もちろんすごくつらい経験なので、皆さん最初は不安な気持ちで相談にいらっしゃいますが、何度かお話をさせていただき、最終的にウィッグを着用して帰るときには笑顔になる方が多いのが印象的です。中には、医療用ウィッグをきっかけに、おしゃれをまた楽しめるようになったり、これまで地毛ではチャレンジできなかった髪型やカラーリングを試してみたりする方も。

元々はマイナスな出来事かもしれませんが、それをゼロにするのではなく、少しでもプラスにしていけるよう心がけています。「ふくりび」では、初ウィッグから使用中のメンテナンス、卒ウィッグまで、一貫してサポートをしていくので、いつでも安心して通える場所でありたいですね。

同じ想いを持つフィーノに共感してプログラムに参加

本プログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】をサポートいただくに至った想いについて教えてください。

既存のヘアドネーションに対して、「ヘアドネーション」という言葉だけが一人歩きしてしまっている現状に違和感を持っていました。もちろんヘアドネーションをすることはいいことなのですが、“ドネーションすること”ばかりがフォーカスされるべきではなく、重要なのはその先にある、“ドネーションした髪がどう使われているのか”、“使う方はどんな悩みを抱え、またどれだけ必要としているのか”だと思うんですよね。

そういったことをきちん理解していただきたいと考える中で、同じ想いを持っていたフィーノの皆さんにお声がけいただき、今回お取り組みさせていただくことを決めました。

決して他人事ではないからそれぞれの「想い」を届けたい

本プログラムを通じて、どのようなことを伝えていきたいでしょうか?

SNSや様々な取り組みを通じて、ヘアドネーションをした方の想いや、医療用ウィッグを使うユーザーさんの想いなどを届けて、それらが循環して繋がっていくことをイメージしています。

その中で、「ふくりび」としては、まず「医療用ウィッグを使う側」のことを知って欲しいと思っています。なぜなら、この問題は、誰にとっても決して他人事ではないからです。自分も病気になったら医療用ウィッグが必要になるかもしれないし、自分の大切な人が必要とするかもしれないですよね。

また、街中にはウィッグをつけて生活している方がたくさんいることも知って欲しいです。ひょっとするとすごく上手にウィッグを使っていて、全く気づいていないかもしれません。でも、ウィッグはすごく暑いですし、さらに治療の副作用によっては更年期障害に似た症状が出ることもあるので、大量の汗をかいて辛い想いをしている方がいるかもしれません。

そういったちょっとした異変にも気づいて、誰もがさりげなくサポートしてあげられる社会であって欲しいと思います。

フィーノと一緒に、ヘアドネーションの受付をスタート

2022年6月からは、実際に「fino ウィッグBank」でのヘアドネーションの受付がスタートしましたが、どのような反響や気づきがありましたか?

すでに毎週ドネーションキット(※)のお問い合わせをいただいており、寄付も多数届いています。中には、熱い想いをつづったお手紙を同封してくださる方もいたり、小学生や中学生など若い世代の方からの寄付が多かったりすることも驚きでした。また、周りの美容師さんからも、本プログラムへ賛同する声がたくさん届いていることを嬉しく思います。

今回のプロジェクトは、フィーノという皆さんが良く知っているブランドがこれだけの熱量でしっかり取り組んでいることなので、この先もどんどん広まっていくことを期待しています。

※「fino ウィッグBank」で無料配布しているオリジナルドネーションキットです。髪をカットすることも、髪を送ることも、より身近で心地よい体験にしていただきたいという願いを込め、フィーノらしい封筒やヘアゴムのセットをご用意しました。

「どんな髪でも」の背景には、活用背景に工夫が

「fino ウィッグBank」では、ヘアドネーションできる髪の基準を「31cm以上であればどんな髪でもOK」としています。フィーノと「ふくりび」とで話し合いを重ねて決定しましたが、どんな想いがあったのか、あらためて教えてください。

もちろん、パーマやカラーのされていない健康的な髪であることに越したことはないのですが、それだけをくださいというのは、協力いただける方の想いをかなり狭めてしまいますよね。本当にそれしか使い道がないのであれば、そういうルールにするべきなのですが、今回フィーノさんと取り組みをする中で、さまざまな形で医療用ウィッグのサポートが考えることができたので、今回のプログラムではこういった基準を設けさせていただきました。

寄付いただいた髪は、「ふくりび」で販売している医療用ウィッグに活用するほか、髪質などによっては、レンタル用にしたり、医療用ウィッグを製作する美容師の育成に役立てたりすることを想定しています。

また、「ふくりび」ではフルオーダー型のウィッグ製作をしているので、それぞれの色や髪質を活かしたウィッグ製作に活用することもできます。ウィッグを使用する患者さんは、さまざまな年齢の方がいらっしゃいますし、それぞれ髪質やカラーの希望も違うんですよね。

たとえば、ご年配の方であれば、若い健康的な髪よりも、自分と近い年齢や髪質のウィッグのほうが馴染みやすいですし、カラーリングをする場合はブリーチ毛であればそのまま使えたり、中には白髪のウィッグを求めていたりする方もいます。

このように様々な活用シーンを前提にできたことで、いろいろな髪質でのヘアドネーションを受け付けることができました。ただ、どちらにせよ「長さ」は重要ですね。

医療用ウィッグに関して、「長さ」がどれだけ重要かというお話も聞かせてください。

医療用ウィッグ製作現場の課題をお話しすると、「長い髪」は常に不足しています。ウィッグを製作する時には、髪を折り返して植える必要があるので、倍の長さが必要なんです。つまり31cmだとショートヘアのウィッグしか作れないんですね。ウィッグには、最低でも4、5人分の髪が必要ということもあまり知られていないかもしれません。

なのでドネーションを考えている方は、31cmで切るのではなく、出来る限り長く伸ばしていただきたいです。その際に、フィーノを使って伸ばしてみるというのも、ありですよね。

そうですね。できるだけ長く伸ばしていただけると嬉しいですし、フィーノとしてもさらにサポートを広げていきたいと思います。さいごに、本プログラムを通して実現したいことをうかがえますでしょうか。

「社会全体で課題を共有し、助け合う」、そんな世の中であって欲しいと考えています。そして、それが特別ではなく、当たり前のことになって欲しい。そして、このプログラムが、みなさんにとって、色々な立場の方のことを考えるきっかけになればいいなと願っています。

岩岡 ひとみHITOMI IWAOKA

特定非営利活動法人全国福祉理美容師養成協会(NPOふくりび)事務局長。
2009年内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラム英国派遣団員。2010年東アジア地域国際シンポジウム招聘者。2012年内閣府女性のチャレンジ賞受賞。第27回人間力大賞厚生労働大臣奨励賞受賞、東京医科歯科大学医歯学総合研究科医療政策学修士課程在学中。

「fino ウィッグBank」について

フィーノの医療用ウィッグプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】の中のひとつの取り組みである「fino ウィッグBank」では、現在ヘアドネーションを募っており、31cm以上であればどのような髪の状態の方でも、また年齢や性別も問うことなくご参加いただけます。寄付いただいた髪については、NPO法人「全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)」にサポートしていただき、医療用ウィッグの販売のみならず、レンタルウィッグや医療用ウィッグ製作技術のための講義用として寄贈するなど、髪の状態と、その時々のニーズに応じて最適な活用法にて無駄なく生かしていきます。

ヘアドネーションをご希望の⽅は
必ずfinoオリジナルドネーションキットを
お申込みください。

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